フェライト・ロッドは長い方が感度が良い?  都市伝説ならぬラジオ伝説の真実

このラジオは国内最長の180mmフェライトを使用しているので感度が良い! と紹介されている記事を目にした事があります。
では180mmより短いフェライトを使用したラジオは感度が悪いのか?  本当にそうなの?
スーパー・ヘテロダイン方式のラジオの感度はフェライトだけでは決められません。
IFアンプなどで感度差はいくらでも作る事が出来るからです。
ラジオに関しては真空管からトランジスタ、ICへと進化しましたが、バー・アンテナは小型になってもアンテナ以降の信号を簡単に
増幅できるようになったからなのか進化しなくなっている気がします。
bar-antenna.comでは大きめのフェライト・ロッドを使用し、退化の改新を図ろうと思っています。

今回はフェライト・ロッドを使用した同調型バー・アンテナで比較し、本当に長い方が感度が良いのか検証してみました。

ゲルマニウム・ラジオ、ストレート式ラジオ、バー・アンテナなどは一つ一つのパーツの性能如何で、結果が大きく左右されます。



実際に使用した、中波帯・同調式バー・アンテナ

上:長さ:200mm 径:10mm 市販のバーアンテナよりコイル部分を移植しました。
左下:長さ:100mm 径:10mm 手巻きコイルです。
右下:長さ:200mm 径:10mm 手巻きコイルです。

備考:長さ:200mmの物は、同じフェライト・ロッドを使用しています。
   比較用バー・アンテナのコイルは巻き直しなどはしないで、1次側を同調用に、2次側は出力としています。
   ポリ・バリコンなどのパーツには、異常に高性能 または 異常な粗悪品は使用していません。
   ごく普通のパーツを使用しています。
   いずれのアンテナもリッツ線を使用していますが、測定結果と因果関係はありません。

使用機材の紹介:機材の外観画像は、http://bar-antenna.com/kizai/kizai.html にあります。
◎ HP 8753D ネットワーク・アナライザーより550kHz /1.1MHz / 1.6MHzのCW信号を供給
目黒 MLA-1001B 100kHz - 30MHz テスト用ループ・アンテナ
アドバンテスト R3477 9kHz - 13.5GHz シグナル・アナライザー

ループ・アンテナと同調式バー・アンテナはある程度離し、同調式バー・アンテナは同じ位置に置いて測定しています。

アンテナの長さ

550kHz

1.1MHz

1.6MHz

市販コイル 200mm

-81.35

-80.54

-79.43

手巻きコイル 100mm

-72.82( +8.53 )

-71.01( +9.53 )

-70.16( +9.27 )

手巻きコイル 200mm

-68.53( +12.82 )

-64.94( +15.6 )

-65.41( +14.02 )


測定結果をまとめてみました。 単位は、dBmです。
( )内の数値は、市販コイル 200mmを基準にした時の各アンテナとの差です。 これが感度差( dB )になります。
市販コイルの位置は中央部に配置しています。 これは、フェライト・ロッドの中央部が一番感度が高くなる位置だからです。
手巻きコイル 100mmに使用したフェライト・ロッドはQ値が高く同調がシビアな為、もう少しうまく同調を取れば10dBの差はあります。
この差はRFアンプ1段分に相当します。  市販のバー・アンテナを使用した外部アンテナを作った人は、この違いが判ると思います。
ゲルマニウム・ラジオでは検波出力が大きくなるので、より大きな音で楽しめます。

長さが半分しかないフェライト・ロッドでも、10dB近い感度差が出ています。  これは、何故?
同じ材質、同じ長さのフェライト・ロッドでは軽く10数dBの改善が見られました。 こんなに差が?
何故こんな結果が出たのか? 皆さん考えてみて下さい。
信号源のレベルを変化させたり、接続ケーブルを入れ替えたり、市販コイル 200mmにアッテネーターを使ったり・・・・
手巻きコイルの方にこっそりアンプが隠してあると言うようなインチキはしていません。
機械で作られたうどんや蕎麦も美味しいのですが、コイルの手巻きと同じように手打ちの方がより美味しいですよね。
感度を良くするツボを手巻きで再現しています。


手巻きコイル 100mmの内部: BNCコネクターに抵抗が並列接続してあるのは、線が短くて届かなかったのでリード線代わりに使用。


手巻きコイル 200mmの内部: 左側の蓋部分の中央は、三脚取り付けネジ用金具

一言ヒント:マスプロ・アンテナと同じ様に、アンテナのデータにはうそはありません。

この改良品は、天網快々シリーズとして順次ラインアップの予定です。






市販コイルを使用した長さ:200mmのバー・アンテナの550kHz / 1.1MHz / 1.6MHzのデータです。




手巻きコイルを使用した長さ:100mmのバー・アンテナの550kHz / 1.1MHz / 1.6MHzのデータです。


手巻きコイルを使用した長さ:200mmのバー・アンテナの550kHz / 1.1MHz / 1.6MHzのデータです。



違うタイプのバー・アンテナが増えてきたので、2010年最初の受信感度の比較をしてみました。 2010年1月11日

使用機材の紹介:
機材の外観画像は、http://bar-antenna.com/kizai/kizai.html にあります。
Panasonic VP-8131A 10kHz - 280MHz AM / FM標準信号発生器
目黒 MLA-1001B 100kHz - 30MHz テスト用ループ・アンテナ
Microtelecom PERSEUS 受信機

ループ・アンテナと同調式バー・アンテナはある程度離し、同調式バー・アンテナは同じ位置に置いて測定しています。
テスト方法は、このページの最初で紹介しているのと同じです。



比較に使用したアンテナは、以下の通りです。 
全て、バー・アンテナのみでアンプはありません。
上から順番に使用しているフェライト・ロッドの大きさを書きます。
200 10mm 基準用として
200 X 10mm 天網快々シリーズ
140 X 8mm 天網快々シリーズ
100 X 10mm 天網快々シリーズ
65 x 8mm  天網快々シリーズ

65 X 8mm

+2.5

+0.9

+0.7

100 X10mm

+6.7

+7.2

+8.0

140 X 8mm

+11.4

+10.7

+10.3

200 X 10mm

+15.9

+16.5

+15.9


この比較結果は、比較用として使用した200 X 10mmのフェライト・ロッド( 画像の一番上の物です。)を基準にした時の
各サイズのバー・アンテナの結果です。  数字の単位は、dBです。
比較用バー・アンテナのコイルは巻き直しなどはしないで、1次側を同調用に、2次側は出力としています。





この結果から、200 X 10mm と 65 X 8mmがほとんど同じ性能だと言うのが分かります。 1/3の長さですよ!
同調時のシャープさは、比較用アンテナよりもピークがハッキリ出て分かりやすい特徴があります。
65 X 8mmの方は、0.12mmUEW線を巻いています。 比較用と同じリッツ線を使用すれば、もう少し差が出るかも?
フェライト・ロッドの長さだけで感度が良いと言うのは、言い過ぎです。 

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