コイルの調整に、あれば便利なLCRメーター

LCRメーターは、一昔前に比べて入手も簡単で、値段も安くなっています。
テスターに機能の一部として内蔵されている物や、LCRメーター、LCメーター単体で売られている物があります。
どこまで正確に測定したいかでLCRメーターの値段は変わってきます。 千円台から数百万円まで様々です。
廉価版は試料に加える周波数が低いので、試料によっては注意が必要です。
少し厄介なのは、高周波で使う場合です。 材質次第で高周波には不向きな物もあります。
空芯コイルでは低い周波数で測定してもそれほど大きくインダクタンスの値は変化しないかも分かりませんが、
フェライトを使用したバー・アンテナは、フェライトの周波数特性があるので低い周波数で測定した値は当てになりません。

新品でメーカーが判っていればデータシートで確認できますが、型番が分からなかったりチップ形状の物は判別しづらいです。
使用する周波数になるべく近い周波数で測定できれば、問題は解決します。
しかし、測定周波数が高くなれば測定器の値段も急上昇します。
ここではラジオ用に使用できるLCRメーターを記載しています。
興味が有れば、直接メーカーにお尋ね下さい。
高周波域で測定できるLCRメーターは、日置電機でも販売されています。

高周波用コイルなら、LCRメーターよりもディップ・メーター等の方が安上がりに簡単に測定できます。
既知のコンデンサを用意し、同調周波数を基にコイルのインダクタンスを計算すれば良いのです。
ディップ・メーターが用意できなければ、持っている人にお願いするのも手です。


普段使っているLCRメーターは、用途により使い分けています。

★ プレシジョンLCRメーター ★  業界標準機を使用して、測定の信頼性を高める様にしています。
フェライトに巻いたコイルは、使用する周波数域で測定しないと正確な値が得られません。
マルチメーター型のLCR測定機能では1KHz - 10KHz程度の測定周波数がほとんどです。
bar-antenna.comでは公表している実測データの通り、使用する周波数域で測定をしています。
インダクタンス値だけでなくQ値も同時測定する事で、使用している材質の良否が簡単に判断できる様になります。
例えば、フェライトの上に直接コイルを巻いた場合と、紙や絶縁シートの上に巻いた場合にQ値の変化を見れば適切な巻き方が
分かります。 
紙の種類や熱収縮チューブの材質次第で、Q値が半分以下になる事も確認しています。 これは意外に重要な事です。



HP 4285A 75kHz - 30MHz / 100Hzステップ 精密LCRメーター L / C / R に対応
現在は、Agilent 4285Aで販売継続中です。 パソコン机の上に置いてあるメインのLCRメーターです。



NF回路設計ブロック 2340 10Hz - 1.2MHz  予備機 既に販売終了となっています。



Agilent E4980A 20Hz - 2MHz プレシジョンLCRメーター 現行製品の中で、一番測定確度が高いLCRメーターです。


測定結果は、LAN経由でも表示されます。 遠隔操作も出来ます。 USBメモリーに画像を保存することも出来ます。

 
これらのLCRメーターは、本体だけ購入しても測定できません。  以下の測定治具が必要です。

測定治具の外観

HP 16047A 13MHzまでと40MHzまでの2種類を用意。 両端リード型の抵抗やコンデンサに使用します。


HP 16047C 縦に取り付けるコイルやコンデンサに使用します。
この他にも、専用治具をチップ・コンデンサのSMD用など数台所有しています。


実際にゲルマニウム・ラジオなどで使用するバー・アンテナとバリコンを測定してみました。


2006年8月 ハムフェア2006会場で見付けたので、何個か買ってきました。
それぞれ新品で、バー・アンテナは\50 バリコンは\30でした。
( このバリコンの最大容量は22PFだったので、中波用には使えませんが。)
この手のコイルとバリコンは、1MHzで測定されるのが一般的です。
1 - 2間の容量とQを測定しました。



コイルの位置が中央付近で容量が最大になります。


コイルが端の方で容量が減ります。



Qメーター DELICA 661 
コイルのQを測定するには、Qメーターの登場です。 もちろん、L / Cの測定も出来ます。
内蔵の信号源で、0.75 - 100MHzをカバーします。
外部から0.1 - 1MHzを入力( 左上のBNCコネクターから )すれば、下限の測定範囲が拡がります。
低価格のLCRメーターと違い、高周波域での測定が出来るために使用周波数におけるLCRの値が真実味を増します。
同様な製品は多いのですが、この機種は小型なので置き場所には困らないと思います。
製造中止になったので、中古市場で探すしか手は無いかも分かりません。




試料を接続する端子



周波数はデジタル表示なので、設定は簡単です。 EXT.GENの位置で、周波数カウンターとしても動作します。



低価格でお勧めなのは・・・例えば、これ

33PFを測定したところ

この機種は高精度が売り文句なのですが・・・・検証方法は、グレイ・ゾーンです。
検証方法は各メーカーの基準器を測定し、他社製( B&K 878 )と比較して精度が良いと書かれています。
測定周波数の土俵が全く異なるのに、測定周波数には全く触れずに測定値だけを評価しています。
これでは正しい評価方法とは言えません。
少なくとも、同一の標準コイルを比較するLCメーターの測定周波数も同一にしないと意味がありません。
この検証では測定値ではなく、標準コイルの銘板の表示値を100%正確として誤差を求めています。
試料となる標準コイルの真値は、更に精度の高い測定器で測定した値を記入しなければ。
製品としては満足できる物なので、この点が改訂されれば更に良いと思いますが。

実際の使用感は、小さな値のコンデンサやコイルなどは数百KHz台で測定しているので、低価格ながら割合と好結果が得られる機種です。
1万円程度のLCRメーターの測定周波数が1KHz程度であるのを考慮すると、高周波向きの測定を主体にする人には最適だと言えます。

http://www.aade.com/lcmeter.htm で価格を含む情報が得られます。  


強敵が出現しました!


右が中国製のLC200A 測定範囲が大容量のコンデンサ、コイルに対応しています。
大きな特徴は測定周波数が表示される事です。 小容量時は数100kHz台で測定します。
秋葉原店で、好評発売中です。


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